真宗興正派 本山 興正寺

真宗教団連合発行の法語カレンダー、ご覧になったことがありますでしょうか?
毎月一つの法語から真宗興正派・本山布教使の方々にお話を頂く今月の法話です。

合  掌


 あらゆる衆生、その名号を聞きて信心歓喜せんこと、
 乃至一念せん
              『仏説無量寿経』巻下

 世の中に紹介されて今も親しまれている「世界に一つだけの花」の歌に、

 人間はどうしてこうも比べたがる
 一人一人違うのにその中で 一番になりたがる

という詞があります。私たちはいつも他人と優劣(ゆうれつ)や正否(せいひ)、賢愚(けんぐ)を比べながら暮らしているようです。
自信に満ちた友人に出会って引け目を感じたり、友人の成功を妬(ねた)んだりしている自分を見ればよく解かります。

石川啄木は

友がみな われよりえらく 見ゆる日よ
花を買ひ来て 妻としたしむ

と詠って出世した友人への嫉妬する心を覗(のぞ)かせているようにも感じます。
 また、人間というものは逆に、自信有りげな賢い人や自分より優れていると思う人が、ミスをしたり失敗したときに「ざまあみろ」と思う心を持ち合わせておりますので、なかなか比べたがる心を無くすことはできないかも知れません。

でも、詩人の大和蓮華さんは「毎日」という詩に、

  自分に自信のある人なんて 誰もいないよ これでいいんだろうか
  これでいいんだろうか と いつも自分に 問いかけ問いかけ
  みんなそうやって 生きているんだよ

と、うたわれ私達を励まして下さっています。

 相田みつをさんはいのちのありようを「トマトとメロン」と題してうたっております。

 トマトにねえ いくら肥料をやったってさ  メロンにはならねんだな
 トマトとね メロンをね  いくら比べたって しょうがねんだなあ
 トマトより  メロンのほうが高級だなんて
 思っているのは人間だけだね  それもね 欲のふかい人間だけだな
 トマトもね メロンもね 当事者同士は  比べも競争もしてねんだな 
 トマトはトマトのいのちを  精一杯生きているだけ
 メロンはメロンのいのちを  いのちいっぱいに 生きているだけ
 トマトもメロンも  それぞれに 自分のいのちを
 百点満点に生きているんだよ  (以下略)

また、川村妙慶さんは、

自分の存在をそのまま喜べると、心に余裕が生まれるのです。
すると、私は私、他人は他人と、それぞれが自分の持ち前を頑張ったらいいという気持ちになれるのです

と語っております。
 ですから、仏さまはあなた自身のいのちをしっかり受けとめて、あるがままの自分を生きることが喜びではないのか。あなたの世界を大切にあなたはあなたのまま、そのままでよいのだよと教えてくださっているのです。


合 掌

本山布教使 西本清海
(奈良県 清教寺)

                            

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